クリスタの「囲って塗る」ツールの解説記事は既に書きましたが、「囲って塗る 出来ない/塗れない」などの検索ワードが多いので、もう少しピンポイントに解決できるような記事を作っておくことにしました。
塗れない時のチェックポイント
「囲って塗る」が使えない時は以下の点を確認してみましょう。
範囲内に閉領域を収めているか?
「囲って塗る」は、フリーハンド(または図形)で囲った範囲内にある「閉領域」内に色を塗るというツールです。
「閉領域」とは、閉じた領域、つまり線画など色のあるピクセルで囲まれた範囲のことです。
閉領域かどうかは、囲んだ範囲内で判定されます。
例えば、下左図のピンクの線のように囲むと、右図のように塗り潰されます(一設定の例)。左端の丸はピンクの線内では閉じていないので、閉領域ではないと判定され、塗り潰しがされません。
では完全に閉じていないと塗れないの?というと、そうでもありません。設定によって、塗りつぶしの対象色や参照レイヤー、隙間を無視する程度、塗りつぶし領域の拡縮などを調整することが可能です。
塗りたい範囲が「対象色」と一致しているか?
囲って塗るの設定項目で一番大きな差が出るのが「対象色」。
初期設定は「透明部分のみ」(のはず…)。これは単純で、閉領域内の透明部分にのみ色を塗るという設定です。「色の誤差」「領域拡縮」の設定にもよりますが、基本的には有色部分には塗られません。
また、有名素材の「隙間無く囲って塗るツール」の対象色は、「透明以外には閉領域にも」に設定されており、これは閉領域内の透明部分+既に色がある部分(有色部分)に塗るというもの。有色部分は閉領域かどうかは関係なく色が置かれるので、範囲内に収められた線画の下にも塗られますし、対象レイヤーの既に色が塗られている場所にも上塗りされます。
「対象色」は全10種と豊富ですが、公式のマニュアルで画像付きで詳しく解説されています。面倒な方は、個人的に汎用性が高いと思える3種の解説と具体的な用途の紹介を記事にしていますので、そちらだけでもどうぞ。
「隙間閉じ」がオンになっているか?
閉領域がきっちり閉じていないから塗れない、ということも勿論あります。
しかし、ツールプロパティの「隙間閉じ」にチェックを入れれば、隙間が開いていても、程度により閉じているものと見なしてくれます。
1から5段階まで選べるので、都度調整してみましょう。
「色の誤差」の数値はどうか?
アンチエイリアスがかかった描画など、半透明の有色ピクセルは、ツールプロパティの「色の誤差」の値によって、透明と見なすか有色と見なすかが変わってきます。
線の輪郭付近で塗り残しが出ている場合は、この値を上げてみましょう。
ただし「対象色」が「透明以外と内部の透明」の場合など、この設定が無効になるものもあるので注意して下さい。
「領域拡縮」はオンになっているか?
「領域拡縮」は、塗り潰し範囲を拡縮させる設定です。+のみでなく-の値にも出来ます。
例えば対象色が「透明部分のみ」でも、これを利用することで、線画の下にまで多少色を塗ることが可能です。
色が隣接した領域にはみ出してしまう場合も、この設定を見直してみましょう。
「複数参照」と「参照しないレイヤー」の設定
「複数参照」の項目では、塗る範囲を決定するのに参照する対象を選べます。(ツールプロパティに表示されていない場合は、詳細から参照先を見てください。)
また、そこに付随する設定の「参照しないレイヤー」も重要。左から「下書き」「文字」「編集」「用紙」「ロック」レイヤーとなっていて、チェックしたものを参照元から外せます。「用紙」レイヤーは全面有色扱いなので、「複数参照」と「対象色」の設定によっては注意。基本的にはオンにしておいた方が良さそうです。
より詳しい解説は、以下の公式マニュアルをどうぞ。
塗りつぶしツールを使いこなす②閉領域フィル "ツール設定・色塗り #5" by ClipStudioOfficial - CLIP STUDIO TIPS (clip-studio.com)