クリスタには漫画のスクリーントーン機能がありますが、ブラシの筆跡がそのまま網点トーンやノイズ(砂目)トーンになるブラシ(以下トーンブラシ)も作れます。
この記事ではそのトーンブラシの仕組み、良い点悪い点・自作する方法を紹介します。
初心者に注意!
初心者でクリスタのトーン機能(トーンレイヤー/レイヤーのトーン化)を知らず、「トーンブラシが一番手軽そうだから…」と思っている方はお気をつけて!実はトーンの中ではトーンブラシは一番融通が利きません。
特に原稿などに使いたいという方は「トーンレイヤー」か「レイヤーのトーン化」がおすすめ。→【ClipStudio】トーンの貼り方,塗り方 簡単解説+時短素材
トーンブラシの仕組み
トーンブラシは、ブラシの筆跡がそのまま網点トーンやノイズ(砂目)トーン柄になります。ブラシに設定した用紙が筆跡として出てくるという仕組みで、同じ部分に筆を重ねても同じ柄が出ます。網点の周囲(点と点の間)は白ではなく透明で、なにも描写されません。単純に網点やノイズ柄を描写するイメージです。
対して、「トーンレイヤー」はトーン柄の画像の表示範囲をマスク機能でコントロールするイメージ、「レイヤーのトーン化」はレイヤー上の描写範囲がトーンとして変換表示されるイメージです。
トーンブラシの良い点と悪い点
トーンブラシを使う前に絶対把握しておいてほしいのが以下。
良い点
筆跡が柄になるだけなので、1つのレイヤーに別の線数・濃度のトーンを塗ることが出来ます。なるべくレイヤーを増やしたくない場合に良いですね。
悪い点
実際に網点やノイズを描写するので、塗った範囲を自動選択するのは困難で(選択しようとしてもドット部分だけが選択されます)、トーンの貼り替えも出来ません。
再録同人誌や単行本化などで原稿サイズを縮小する必要が出てきた場合、このブラシで描写した網点などのトーンは、縮小率によってはモアレてしまいます。アナログ原稿での縮小と同じ注意が必要です。
更に、使うトーンの種類が多い場合、サブツールパレットに登録する数も多くなってしまうので、クリスタの動作が重くなる可能性もあります。
トーンブラシの作り方
※一番手っ取り早く簡単な、シームレスではないものの作り方になります。シームレスにしたい場合は、用紙を用意する際にシームレスパターンに加工する工程が必要になります。シームレス化の方法まではここでは説明しないので、自力でお願いします。
ただし、原稿サイズは最大でもB4だと思うので、用紙をB4サイズで作っておけばあまり気にしなくて良いと思います。重さもブラシの登録数が多くなければ、そこまでシビアではないかと…。
網点トーンだけでなく、ノイズでも同じように作れます。
①漫画原稿用紙を新規作成する
シームレス化しない場合、この用紙サイズがトーンが塗れる領域になります。作成したトーンブラシをそれ以上に大きい用紙に使用した場合、トーンが描写されないか継ぎ目がズレた部分が出てしまいますので注意。大抵はB4で作っておけば安心でしょう。
解像度も原稿用紙に合わせたdpiにしてください。大抵の方は600dpiかと思います。
②トーンレイヤー、またはトーン化したレイヤーを用意する
お好みの線数・濃度のトーンレイヤー(マスクをかけず全面表示の状態)、またはトーン化したレイヤー(全面塗り潰し)を作成します。
面倒な方、その時点で良く分からない方は、クリスタASSETSから「網点トーンレイヤーセット」をDLし、オマケのモノクロ画像化トーン(600dpiB4サイズ)を使用してください。ノイズの場合は「ノイズ(砂目)トーンセット10~60」「ノイズ(砂目)トーンセット70~120」をどうぞ。
DL後、キャンバスに貼り付けたりする必要はなく、このまま③~⑥を飛ばして⑦に進んでください。
④レイヤーをラスターレイヤー化(ラスタライズ)する
[レイヤー]パレットでレイヤーを選択し、[レイヤー]メニュー(または右クリック)→[ラスタライズ]を選択して、ラスターレイヤーに変換します。
※シームレス化したい場合は、この後にシームレス化の作業をおこなって下さい。次工程で透過する必要があるため、画像の端がドットの半分にかかっていないと上手くいきません。ASSETSにシームレス化のオートアクションがいくつか配布されています。ドットのサイズが拡縮さえされなければ最小の範囲でOKです。
⑤レイヤーの輝度を透明度に変換
メニュー>編集>「輝度を透明度に変換」をクリックします。(透過されていないとブラシに反映されません。)
⑥素材に登録して「用紙」にチェックを入れる
レイヤーパレットからトーンレイヤーを素材パレットにドロップします。素材に登録されたら、アイコンをダブルクリックしてプロパティを開き、左下の「用紙テクスチャとして使用」にチェックを入れて閉じてください。
※シームレスパターンを作成した方は、タイリング→繰り返し、タイリング方向→上下左右に設定して下さい。
⑦トーンブラシに使用したいブラシのベースを作成する
好みの設定のブラシを用意します。デフォルトのGペンのサイズを大きくしたものなど、濃淡の出ない・混色されないものにしましょう。
なお、上で「網点トーンレイヤーセット」をDLした方は、同梱の「トーンブラシ60線10%」か「ベタ塗りGペン」を使用するのがおすすめ。
⑧ブラシに作成したトーン素材を設定する
作成したブラシのサブツール詳細パレットを開き、「紙質」をクリック。一番上の「紙質」の右側(未設定の場合は「なし」という文字が表示されています)をクリックして、登録したトーン素材を選択して「OK」をクリックして下さい。
更に、下部の「紙質適用方法」を「乗算」に変更します。
これで完成です。
網点やノイズ以外にも、透過された画像素材であれば同じようにブラシ化が可能です。
自作が面倒な場合の有償素材
数を作るとなるとそれなりに手間と時間もかかるので、有償でも良いという方には「スルスル塗れるトーンブラシ・ブラシで塗る砂(ノイズ)トーンセット1」あたりの素材がおすすめ。線数と濃度がきちんとしているので原稿でも使えるはずです。